研究と仕事の二足のわらじ
入社前は岡山県で家事代行やカフェの立ち上げ業務を行っていました。博士後期課程に進学後すぐ岡山へいき、2年くらいで仕事が落ち着き福岡に戻りました。現在も大学院の博士課程に在籍中です。
福岡に戻ってからは、企業のEメールデータから人間関係の構造を可視化するというテーマで、半年ほど研究に注力していました。
メール内で使用される単語をベクトルで表現し、さらにその空間上でメールの送受信傾向(重み付きの有向グラフ)を用いてメールの送信者と受信者をベクトルで表現できるようにしました。
私の研究の目的は可視化であるので2次元の制約を入れることで可能にしています。本来は数値として扱えず、また主観的に扱うことしかできない、単語や人間関係に対して客観的な分析を可能にすることをモチベーションとしています。
「音声認識」というワードに惹かれて勢いで応募
研究の傍ら「面白い仕事ないかな、MLの仕事はあるのだろうか」と軽い気持ちで探していたら音声認識をしている会社が福岡にあり、それが弊社でした。研究領域が自然言語処理ということもあり、音声認識というワードに惹かれて学生アルバイトの募集に応募しました。
社員として働くことになったのは、学生アルバイトとして3、4ヶ月ほど働いたあと。「本格的に音声認識ができる会社が福岡にあるんだ」という驚きが一番の動機ですね。
業務内容はビジネスシーンの対話データを相手にするもの。自分の研究テーマはコミュニケーション解析。しかも商談の音声データを大量に保有していて、今後もどんどん増えていく。
多くの人が興味を示していたにも関わらず、これまでに用いられていた対話データは、研究者が協力者に演技を依頼し意図的に作成したものばかり。
弊社にあるのは生の音声データ。この貴重なデータを扱うことで新しい技術・サービスが作り出せるのは間違いないと思いました。
開発〜テスト手法における技術選定を担当
アーニーでは、VPoE(Vice President of Engineering)として働いていますが、状況に応じてさまざまな仕事を行っています。
VPoEらしい仕事は大学院生を対象にしたオンボーディング。スクレイピングをしてもらったり、モデルの一連の学習を任せたり。モデル運用にはテスターとの連携も欠かせないため、役割が異なる人どうしを繋ぐこともVPoEとしての仕事ですね。
データの準備・モデル構築・テストの流れを経験してもらい、研究開発の基礎を身につけてもらっています。スキルセットの底上げやチーム作り(役割分担)には特に気を配っていますよ。
開発系の業務では複数のプロジェクトが同時進行していますが、プロダクトとなるコアな実装や実験よりもそのサポート・運用面の業務がメインです。
コミットしていく側面は性格など個人的なことにも依存しますが、特にコア開発は技術を嗅ぎつけられるエンジニアが担当します。自分にはこの嗅覚があまりなかったため、エンジニアの雑務を減らせるように工夫をしています。
誰にでもプロダクトを作るチャンスがある
アーニーで働いていて楽しいのは、誰でもプロダクトを作るチャンスを目の前にしていることですね。音声認識のリアルタイム処理はそのひとつです。
弊社では掛け合いによって業務が進みます。例えばテスターが「こんなモデルがあったらどうか?」と提案し、エンジニアが「このレシピを試してみよう」といった具合に。
そうして「こんなものを作ってみました」と皆に共有すると、ときには代表がサービス・プロダクトとして活かす方法を爆速で提案してくれるのです。
ありきたりに聞こえそうですが、会社全体の雰囲気もすごく自由です(笑)
その反面、これからノウハウを溜めていかないといけないところが大変ですね。例えば音声認識のDeep Learningでは、対話の間の長さなども精度に影響します。これは実験を何度も繰り返し見えてきたことです。
運用面においては「学習データは常に受け取るデータより古い」という宿命を、どう克服するか。新しいサービス名や流行語などは、新たに学習しないと文字に変換することはできませんし、学習データを作成するコストが非常に高いことも懸念点です。
エンジニアとデータ作成者の連携が必要で、エンジニアをリードするようなポジション作り、チーム作りを模索しています。体力的に大変なときもありますが、各々が模索した仕事が結びついてプロジェクト全体が進んでいくのは刺激的で楽しいです。盛り上げ隊長になれればと思っています。
福岡の経済に機械学習で貢献したい
アーニーのVPoEとしては、学生エンジニアが機械学習系のメジャーな会社に飛び立ってほしいという思いがあります。機械学習系の職務でGoogleやMicrosoftに所属する日本人は多くいるので、弊社での経験を通して世界の動向を肌身に感じて飛び立ってもらえたらと思います。
個人としては、福岡の経済のなかで、機械学習によって解決できる課題をどんどん解消していきたいと考えています。現在は仕組み化に向かっている段階なので、多角化していける状態まで成長したいです。
機械学習で起業したい人はアーニーで働いてみてほしい
起業を考えている学部生・大学院生にもアーニーで働いてほしいなと思っています。私の周囲では博士号を取得してそのまま独立している人もいるのですが、うちで5年くらい働いてみるのも悪くないと思っています。
言い方が悪いかもしれませんが「新卒カードってそんなに魅力的なのかな、就活面倒くさいなあ」と考えている人はうちに合っているのではないでしょうか。